2012年12月22日

第54回:一つの戦略と複数の戦術が勝利をもたらす!!

『私が軍の将校として受けた訓練では「戦略」と「戦術」の違いを知る必要があった。
 ごくやさしい言葉で言えば、戦略とは何をするかで、
 戦術とは戦略をどう遂行するかについてのプランだ。
 当時、軍事を教える教官の中に、戦争で勝つためには一つの戦略と
 多くの戦術を駆使することが重要だと繰り返し強調する教官がいた。
 彼はよくこう言っていた。
「軍隊のリーダーは一つの目標または戦略に焦点を合わせなければならない。
 一つのことを遂行することだけを目指さなければならない。
 そのほかのことは全て、その一つのことを遂行するための戦術だ」
 次にこの教官は、一つの戦略に焦点を合わせた複数の最高の戦術を駆使したリーダーが
 勝利を収めた戦いの例を挙げるのが常だった。

 私はこの教えを胸に、ビジネスの世界に足を踏み入れた。
 まもなく、この世界でも「単一戦略・複数戦術」型のプランを持つ企業が
 戦いに勝利を収めていることがわかってきた。

 たとえば、ドミノピザは競合会社を負かすために一つの戦略をもとに商売を始めた。
 宅配ピザ戦争の中で差別化を図るため、ドミノピザはただ一つの戦略を核として会社を作ったが、
 その戦略とは「三十分以内にピザを届ける」という約束だった。
 ドミノピザのビジネス全体がその約束、つまりただ一つの戦略を中心に作られていた。
 この唯一の戦略を実現するために、会社は次に、複数の戦術プランを練り、それらを実行した。
 ドミノピザは市場に参入するとすぐに競合会社の市場シェアを奪った。
 そのような約束を果たすようにビジネスが設計されていなかったピザハットなどの競合会社は、
 ドミノピザに追いつくことができなかった。
 ピザハットはドミノピザと戦うために、広告を増やしてコミュニケーションのレベルを強化し、
 また新しい種類のピザを導入して製品のレベルを充実させた。
 このようにしてピザ戦争が始まり、ピザハットはよりよい商品、ドミノピザはより早い配達を武器に戦った。

 ジェームズ・コリンズの著書『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』を読んだことのある人は、
 すばらしい企業の多くがただ一つの戦略を掲げていることに気付いたかもしれない。
 ジェームズ・コリンズ自身は、それを「単一戦略・複数戦術」とは呼ばず「ハリネズの原則」と呼んでいる。
 この本には、ウォルマートの「いい品を最も安い価格で」という単一戦略こそが、
 複数の戦略やそれ以上の戦術を持つ競合会社を同社が打ち負かしている理由だと書かれている。
 言い換えれば、
 ウォルマートの競合会社は勝利のための一つの戦略を明確に定義できていないだけ、ということになる。
 ウォルマートはそのビジネス全体が一つの約束、
 それも明らかに顧客に気に入られるような戦略に焦点を合わせて設計されている。
 ウォルマートは製品の部分で勝っているわけではない。
 ドミノピザと同じように、同社もシステムのレベルで勝っている。

 トーマス・エジソンも製品レベルではなく、
 システムレベルで電灯をめぐる戦いに勝ったことを思い出した人もいるかもしれない。
 ヘンリー・フォードもまたシステムレベルで勝った。
 彼は、勤労世帯のために低価格の車を大量生産したにすぎない。
 最高級の車を作ると約束したことなど一度もない。
 ただ、最低価格の車を作ることを約束して、その約束を核としてビジネスを設計した。

 マクドナルドも最高のハンバーガーを作っているわけではない。
 レイ・クロクは、フランチャイズのオーナーになりたいという人々に
 最高のフランチャイズ権を売るというアイディアを中心にビジネスを設計した。』
 (金持ち父さんの起業する前に読む本 P285より、一部加筆修正)
金持ち父さんの起業する前に読む本 -ビッグビジネスで成功するための10のレッスン [単行本(ソフトカバー)] / ロバート・キヨサキ, シャロン・レクター (著); 白根 美保子 (翻訳); 筑摩書房 (刊) ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則 [単行本] / ジム・コリンズ (著); 山岡 洋一 (翻訳); 日経BP社 (刊)

『やぶっちコメント』
自分は投資をするときは色々手を出している企業よりも、
一つのこと(一つの戦略)を愚直にやっている企業に投資するのが好きです。

また、自分が仕事やビジネス、投資ををするときも同じように考えて絞るようにしています。
いろいろやらないことでリソース(人、モノ、金)が分散せず、一つの分野に関しては他の人に比べて
集約することで専門性を出し、競争優位が生まれてくると考えています。

また、やずや創業者の故矢頭宣男さんの言葉で
「深く穴を掘れ、直径は自然と広がる!!」って格言があります。
単一戦略・複数戦術を見事に表した言葉だと思います。
posted by やぶっち at 22:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 戦略・戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月28日

第04回:最も思考する価値のあるもの

『「戦略と戦術の区別をつけないといけないよ、ユリアン」とヤン提督は言う。
 ヤン家の一員になるまで、僕は戦略も戦術も同じものだと思っていた。
 結局、戦略とは戦争全体の勝敗を決めるための基本的な構想と
 それを実現するための技術。
 戦術とは局地的な戦場で勝敗を決するための、いわば応用の技術。
「状況をつくるのが戦略で、状況を利用するのが戦術だよ。」ともヤン提督は言う。
 TVのドラマで、主人公の士官や刑事やらが「おれの勘がそう告げている」なんて
 台詞を吐くと、ヤン提督は「ふうん、勘でわかるんだってさ。」と、
 ものすごく意地悪な口調でつぶやくのだ。
「軍人の勘が全部あたるのなら、負ける奴はいない。警官の勘が全部あたるのなら、
 無実の罪に泣く者はいるはずがないさ。ところが現実はどうだ?
 物証もなしに捜査官の勘とやらで逮捕されて、処刑された後に真犯人が
 出てきたというケースが、いくつもある」ヤン提督はさらに言う。
銀河英雄伝説.jpg

戦略には、勘なんか働く余地はない。
  思考と計算とそれを実現させる作業とがあるだけだ。
 たとえば、ある方面に100万の兵力を配置するためには、
 兵力それ自体の他に、それを輸送するハードウェアと、
 100万人分の食糧と、それらすべてを管理するソフトウェアが必要で、
 そういったものは勘からは生まれてこない。
 だから、職務に不誠実な軍人ほど戦略を軽視して、戦術レベルで賭けをしようとする。
 さらに無能で不誠実な軍人になると、精神論で戦略の不備や戦術の不全をごまかそうとする。
 食糧や弾薬を補給もせずに、闘志で敵に勝つことを前線の兵士に強要する。
 結果として、精神力で勝ったということはある。
 だけど最初から精神力を計算の要素にいれて勝った例は、歴史上にひとつもないよ。」
 ヤン提督の口調は強かった。
「少数で多数を撃破する戦いが、なぜ有名になると思う?そんな例が
 めったにないからだよ。100の会戦のうち99までは、兵力の多い方が勝つ」
 むろん、多いだけではだめだで、彼らには十分な食料と武器弾薬を補給し、
 戦場や戦況に関する正確な情報を与えなくてはならない。
 そして、戦場においてもっとも有能に舞台を指揮しうる者を選んで、必要な場所に配置する。
 そしてそこからが、ようやく戦術家の出番なのだ。

「戦略は構想だ、と私は言ったけど、あるいは価値判断だというべきかもしれないね。
 戦略の段階で最善をつくしておけば、戦術レベルでの勝利はえやすくなる。
 なあ、ユリアン、私は奇蹟を生むとか一部で言われているけど、それは戦術レベルでのこと。
 戦略レベルでは奇蹟も偶然もおこりっこない。
 だから戦略こそ、ほんとうに思考する価値があるんだよ」』

 (銀河英雄伝説外伝2より、一部加筆修正)
銀河英雄伝説外伝〈2〉ユリアンのイゼルローン日記 (創元SF文庫) [文庫] / 田中 芳樹 (著); 東京創元社 (刊)

『やぶっちコメント』
自分が学生時代にたまたま読んだ本の中で一番衝撃を受けた文章でした。
戦略と戦術の違いをとてもわかりやすく説明した文章だと思います。
今も、どうして成功(投資)したいことがあるときは、戦略的に考えるようにしています。
別の文章の中で『創造力と構想力(戦略力)』こそ、もっとも頭を使う価値がある
といった説明文があった気がします。

また、ヘンリー・フォードが残した言葉で、
「考えることはもっとも過酷な仕事だ。だからそれをやろうとする人がこんなにも少ないのだ。」
と言う言葉を残しています。
ここで言う考えるとは、構想力創造力のことを言っていると自分は考えます。

このことを知ってから、創造力や構想力を必要とする歌を作るなど、
クリエイティブな仕事をしている人をとても尊敬するようにもなりました。

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫) [文庫] / 田中 芳樹 (著); 東京創元社 (刊)


【補足】
 話は変わりますが、年金問題を解決するために、
 今の生活を買えなくてもできる株式投資のやり方を説明したブログを書いてみました。

 合言葉は一つ”投資は好奇心!!”

 興味のある方は、是非読んでみてください(=^・^=)

 ブログはこちらから
 長期投資家やぶっちの投資入門


posted by やぶっち at 23:10| Comment(4) | TrackBack(0) | 戦略・戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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